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Santoni クラッチバッグ


イタリア靴の雄、サントーニ。因果なもので、靴より先に鞄に手を出してしまった。随所に施されたレザーが美しい。ハンドフィニッシュの為せる業、ニュアンスのあるグレーだ。

 フラップの裏や底面、内側のパイピングといった見えない部分もしっかりと革で仕上げられており、手抜きはない。迷彩のベルベットも珍しく、振るっている。仕立ての良さと、軽さが両立しているのも嬉しいポイントだ。

 縦19㎝、横26㎝、マチ7㎝、サイズが絶妙である。過不足なく物が入り、しかし大仰にならぬ限々のラインだろう。自説だが、並外れて大柄の人でない限りクラッチバッグは小さめがエレガントと思う。持ち物の少ない人なら、もう一回り小さくても良いかもしれない。

 

 最近、無性に鞄が気になるのだ。次に狙うのは衒いの無い肩掛け鞄…それともブラウンのブリーフケース。使う機会は少ないが、旅に出られるような大振りの物があっても楽しかろう。

 新しい鞄には、それ自体が何か未知の場所へ誘うような魔力がある。僕がこの鞄を購ったのは、もしかすると何に於いても自粛自粛である当今の風潮へのプロテストなのかもしれない。さて、このクラッチバッグは僕を何処に連れて行ってくれるかな。


 

 


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